離婚協議書とは|記載事項・公正証書との違い・作成時の注意点を解説
更新日:2026年10月4日
離婚協議書は、離婚に際して夫婦が合意した条件を書面に残すものです。記載する内容、公正証書との違い、作成後の変更について説明します。
離婚協議書とは
離婚協議書とは、協議離婚に際して、親権、養育費、財産分与などについて夫婦が話し合い、合意した内容をまとめた書面です。
離婚協議書の必要性
協議離婚に離婚協議書の作成は必須ではありません。ただし、口頭の約束だけでは、合意内容や支払条件について後から認識が食い違うことがあります。合意した内容を具体的に書面に残しておくことで、紛争の予防や、約束の内容を確認するために役立ちます。
例えば、次のような問題が生じることがあります。書面を作成しても履行が必ず保証されるわけではありませんが、支払期限や方法、対象財産などを明確にすることが大切です。
- 養育費を払ってもらえない
- 後からお金を請求された
- 物を返せと言われた
- 離婚後養育費を請求しようと考えていたら連絡がとれなくなった
- 離れて暮らす子供と会わせてもらえない
離婚協議書の記載事項
離婚協議書に記載する内容は、子どもの有無、夫婦の財産、住宅ローンの有無、慰謝料についての合意など、それぞれの事情によって異なります。
すべての離婚協議書に同じ条項を入れる必要があるわけではありません。大切なのは、夫婦間で合意した内容について、後から解釈に違いが生じないよう、必要な事項を具体的に定めておくことです。
代表的な記載事項について、順に説明します。
離婚協議書で確認しておきたい主な項目
- 親権・監護に関する事項
- 養育費
- 入学費・医療費などの特別な費用
- 親子交流(面会交流)
- 財産分与
- 自宅・住宅ローン
- 慰謝料
- 年金分割
- その他、個別の事情に応じて必要となる事項
1 親権・監護に関する事項
未成年の子どもがいる場合は、離婚後の親権について定めます。
2026年4月1日から、離婚後の親権について、父母双方を親権者とする共同親権と、父母の一方を親権者とする単独親権のいずれも選択できる制度となりました。
子どもが実際にどちらの親と生活するのか、監護をどのように分担するのかなどについても、必要に応じて整理します。共同親権の場合には、親権の行使についてどのような事項を父母で協議する必要があるかなど、改正後の制度を踏まえた検討が必要になる場合があります。
親権や監護に関する事項は、父母の都合だけではなく、子どもの利益を最も優先して考える必要があります。
2 養育費
養育費については、単に「毎月○万円を支払う」とするだけでなく、できるだけ具体的に支払条件を定めておくことが重要です。
例えば、次のような事項を検討します。
- 毎月の養育費の金額
- 支払を開始する時期
- いつまで支払うか
- 毎月の支払日
- 振込先
- 振込手数料を誰が負担するか
「大学を卒業するまで」などと定める場合には、進学しなかった場合、留年した場合、浪人した場合などに解釈の問題が生じることがあります。どこまで定める必要があるかは、それぞれの家庭の事情や合意内容によって異なります。
また、将来、父母の収入や子どもの生活状況などに大きな変化が生じた場合には、いったん定めた養育費について増額・減額が問題となることがあります。
3 入学費・医療費などの特別な費用
毎月の養育費とは別に、進学、入学、病気やけがなどによって通常の養育費では賄いにくい費用が発生することがあります。
このような特別な費用について、どのような場合に父母が負担するのか、負担割合をどうするのか、事前に協議するのかなどを定めておくことがあります。
もっとも、将来発生する費用を離婚時にすべて予測することは困難です。具体的な事情に応じて、どこまで協議書で定めておくかを検討します。
4 親子交流(面会交流)
離婚後に子どもと別居する親と子どもとの交流について定めることがあります。
交流の頻度、日時、場所、受渡しの方法、連絡方法などを具体的に定める方法もあれば、子どもの年齢や生活状況の変化に対応できるよう、一定の事項については父母の協議に委ねる方法もあります。
親子交流についても、父母の希望だけでなく、子どもの年齢、生活状況、安全や心身への影響など、子どもの利益を最も優先して考える必要があります。
5 財産分与
財産分与について合意する場合には、対象となる財産をできるだけ明確にし、誰がどの財産を取得するのか、金銭を支払う場合にはその金額・期限・方法などを定めます。
預貯金、不動産、自動車、有価証券、保険、退職金など、夫婦によって対象となり得る財産は異なります。単に「財産を半分にする」と記載するだけでは、どの財産をどのように分けるのかが明確にならないことがあります。
なお、2026年4月1日以降に離婚した場合、離婚後に財産分与を家庭裁判所へ請求できる期間は、原則として離婚から5年です。
6 自宅・住宅ローン
自宅がある場合には、不動産を誰が取得するのか、離婚後に誰が住むのか、住宅ローンを誰が支払うのかなどを整理する必要があります。
例えば、住宅ローンが残っている自宅に一方が住み続ける場合には、所有名義、ローン名義、実際の返済者、将来の名義変更、売却する場合の取扱いなどが問題になることがあります。
特に注意が必要なのは、夫婦間で「今後は妻が住宅ローンを負担する」などと合意しても、その合意だけで金融機関との関係における債務者が変更されるわけではないことです。住宅ローンが残る不動産については、金融機関との契約関係も踏まえて検討する必要があります。
7 慰謝料
慰謝料を支払うことについて合意している場合には、金額、支払期限、一括払いか分割払いか、振込先などを具体的に定めます。
分割払いの場合には、各回の支払額や支払日などを明確にしておくことが重要です。事情によっては、支払が滞った場合の取扱いについて定めることも検討します。
なお、離婚する場合に必ず慰謝料が発生するわけではありません。慰謝料の有無や金額について争いがある場合には、協議書の作成とは別に、その点について法的な検討が必要となります。
8 年金分割
婚姻期間中に厚生年金の記録がある場合には、離婚時の年金分割について検討することがあります。
年金分割には、当事者の合意または裁判手続によって按分割合を定める合意分割と、一定の要件のもとで第3号被保険者であった人からの請求により行われる3号分割があります。
2026年4月1日以降に離婚等をした場合、年金分割の請求期限は原則として離婚等をした日の翌日から5年以内です。2026年4月1日より前に離婚等をした場合には、原則として従前の2年以内となるため注意が必要です。
9 その他、必要に応じて検討する事項
それぞれの事情に応じて、ほかにも条項を設けることがあります。
例えば、養育費の支払や親子交流などを円滑に行うため、住所や連絡先、勤務先などに変更があった場合の通知について定めることがあります。ただし、DVなどの事情がある場合には、住所等を相手方に知らせることが適切でない場合もあるため、個別の事情に応じた検討が必要です。
また、協議書に定めたもの以外には夫婦間に債権債務がないことを確認する「清算条項」を設けることもあります。ただし、清算条項を入れることが常に適切とは限りません。未解決の請求や確認できていない財産などがある場合には、その内容を十分に確認してから定める必要があります。
離婚協議書を公正証書にする場合
離婚協議書は夫婦間で作成することもできますが、合意内容を公正証書にする方法もあります。
公正証書は、公証人がその権限に基づいて作成する公文書です。特に、養育費、慰謝料、財産分与などの金銭の支払について、一定額の金銭を支払う旨の合意と、支払わない場合には直ちに強制執行に服する旨の陳述(強制執行認諾文言)を公正証書に記載することで、要件を満たす金銭債務について、別途支払を命じる判決等を得ることなく強制執行を申し立てることができます。
ただし、公正証書に記載したすべての約束について直接強制執行ができるわけではありません。親子交流などの非金銭的な合意や、金額・発生条件などが明確でない債務については別に検討する必要があります。
また、公正証書があれば必ず支払を回収できるというものでもありません。実際に強制執行を行う場合には必要な手続があり、差し押さえることのできる財産が存在することも必要です。
離婚協議書は後から変更できる?
夫婦双方が合意すれば、離婚協議書で定めた内容を後から変更できる場合があります。変更した場合にも、後の紛争を避けるため、変更内容を書面に残しておくことが大切です。
養育費については、父母の収入や子どもの生活状況などに事情の変更が生じた場合、当事者間で合意できなくても、家庭裁判所の調停・審判による増額・減額が問題となることがあります。
一方、財産分与や慰謝料などについて成立した合意を、一方の希望だけで当然に変更できるわけではありません。
また、離婚後の親権者の変更については、父母だけの合意によって自由に変更できるものではなく、家庭裁判所の手続が必要となります。
離婚協議書を作成する方法
離婚協議書は、必ず弁護士に依頼しなければ作成できないものではありません。当事者間で合意内容を整理し、自分たちで作成することもできます。
当事務所では、「自分で作成したい」「作成したものを弁護士に確認してほしい」「個別の事情に合わせて一から作成してほしい」というそれぞれのご希望に応じたサービスをご用意しています。
作成した協議書を弁護士に確認してほしい方
ご自身で作成した協議書について、条項の不足や曖昧な表現がないか、個別の事情に照らして問題がないかを弁護士が確認します。
離婚協議書チェックは22,000円(税込)~で、全国からオンラインでご依頼いただけます。
弁護士に協議書を一から作成してほしい方
住宅ローンが残る自宅の取扱い、財産分与、養育費など、個別の事情に合わせて条項を組み立てる必要がある場合には、弁護士が事情を確認したうえで離婚協議書を作成します。
作成費用は55,000円(税込)~で、全国オンラインで対応しています。
離婚条件そのものについて法的な助言が必要な場合や、相手方との交渉が必要な場合には、協議書の作成・チェックとは別に法律相談や交渉のご依頼をご案内することがあります。
離婚条件や今後の進め方についての法律相談は、奈良・西大和、静岡の各オフィスのほか、オンラインでもお受けしています。離婚相談のご案内をご覧ください。

