離婚調停とは
夫婦で離婚,その際の条件について話し合いをしたけどまとまらない
夫の暴力などがあり,話し合いをすることが全くできない
などの場合には,離婚調停を利用することが考えられます。
ここでは,離婚調停の内容,離婚調停の手続きの方法などについて,ご説明いたします。
離婚調停とは
離婚調停の概要
離婚調停とは,家庭裁判所で行われる,離婚に関する様々な事柄を,家事審判官(裁判官)と家事調停委員によって組織した調停委員会が,夫婦それぞれの言い分を聴き,歩み寄りを促すなどし,合意による解決を目指す手続です。家事調停委員は,通常,男女1名ずつです。
離婚調停では,
離婚
親権者の指定
養育費に関すること
面会交流に関すること
財産分与
慰謝料
などについて,話し合われます。
離婚調停の手続き方法
申立書の提出
離婚調停は,当事者(夫婦の一方)が「申立書」を作成して,家庭裁判所に提出して,申立てを行います。申立書の用紙や立ての説明書は,各家庭裁判所でもらことができます。
どの裁判所に提出するか(管轄裁判所)
申立書を提出する家庭裁判所は,どこでもよいというわけではありません。管轄裁判所に対して申立てをする必要があります。管轄裁判所は,「相手方の住所地を管轄する裁判所」または「当事者が合意で定める裁判所」です。「住所地」は,必ずしも住民票上の住所ではなく,実際に生活している場所です。
奈良県の中でも,家庭裁判所は,本庁,葛城支部,五条支部があります。
例えば,相手方が奈良市に住んでいる場合には,奈良家庭裁判所に申立書を提出することになりますし,相手方が香芝市に住んでいる場合には,奈良家庭裁判所葛城支部に提出する必要があります。
また,静岡県の場合も,本庁,沼津支部,下田支部,浜松支部,掛川支部があります。
相手方の住所地によって,適切な裁判所を選択して申し立てなければなりません。
離婚調停の流れ
申立て
上記のとおり,申立書を提出します。
家事審判官に配てん,調停委員の指定
申立書が受理されると,担当の裁判官に配てんされ,2名の家事調停委員が指定されます。
調停期日の指定
第1回期日が指定されます。初回の期日は,申立ての受理から1か月くらいの間で指定されることが多いです。
相手方には,調停期日通知書が送られます。この際,申立書の写しも送付されます。
また,相手方に送付される書類には,答弁書,事情説明書,進行に関する照会回答書,連絡先等の届出書などの書式が同封されており,相手方は,必要に応じて記入し,提出します。
調停期日
調停期日では,調停委員が,当事者を順番に呼んで,それぞれの話を聞いたり,解決に向けて説得をしたり,調整を行ったりします。調停委員は,審判官に期日での状況や結果等を報告し,評議をします。
調停期日は,何度か重ねれらるのが通常です。
合意できた場合(調停成立)
話し合いがまとまり,合意に達すると,調停成立となります。そして,期日に立ち会った裁判所書記官が,話し合いの結果を,調停調書にします。
離婚について調停が成立した場合は,10日以内に市区町村役場に離婚の届出をしなければなりません。
合意できない場合(調停不成立)
離婚について合意できない場合
話し合いがまとまらない場合には,離婚調停は,「不成立」で終了することになります。それでも離婚を求める場合には,離婚訴訟(裁判)を提起することになります。
婚姻費用分担,監護者の指定,面会交流等に関する調停が不成立の場合
これらの調停が不成立となった場合には,自動的に審判手続に移行し,裁判所が判断を行います。
離婚調停にかかる期間
調停の期日は,何度か重ねれらることが多く,終了までには,数か月かかることが多いです。
期日は,だいたい,1か月から1か月半ほどに1回くらいのペースで開かれます。
半年ほどで終了することが多いですが,話し合いの進み方によっては,1回で終わることもありますし,半年以上かかることもあります。
離婚調停は弁護士に依頼する?
離婚調停に弁護士は必要か
調停は,調停委員が入って行われる話し合いですので,必ずしも弁護士に依頼しなければならないわけではありません。
もっとも,離婚調停は,多くの方にとって,一生に一度しか経験しないことですので,手続きを進める中でわからないことや気になることが出てくることがほとんどではないかと思います。合意がまとまりそうになって,「本当にこの条件でいいのかな?」と心配になられることも少なくないでしょう。
ですので,ご自身で離婚調停を進められる場合にも,法的なアドバイスを得たり,ご自身の考えを整理したりするために,調停終了までの間に,弁護士の法律相談を受けておかれることは有益であると考えております。
当事務所では,すべてをご依頼いただかなくても,継続的な法律相談による対応もさせていただいております。
弁護士にできること
離婚調停をご依頼いただいた場合に,弁護士は,
・調停期日に同席し,サポートする(弁護士がご本人に代わって出席することもできます)
・必要書類を準備する
・書面を作成,提出する
・ご依頼者のご意向を聴き,適切な進行を検討,ご提案する
・全般にわたって,法的なアドバイスを行う
・相手方代理人と調停期日以外の場で連絡を取り合って話し合いを進める
といったサポートをいたします。
弁護士に依頼するメリット
このようなサポートを受けることで,不当に不利な条件で離婚を成立していまうことを避けることができたり,ご自身の不安を和らげることや精神的な負担,準備等にかかる物理的な負担を大きく軽減するこができたりします。
調停をご自身で進められる場合,中には,「調停委員に自分の話を全然聞いてもらえない,理解してもらえない」「調停委員が相手方の味方をしている気がする」「早く結論を出せと迫られて焦ってしまう」といった方がいらっしゃいます。
そのような場合には,まず,弁護士へのご相談をご検討いただければと思います。